HARD THINGS 戦時のCEO経験者の超実践的アドバイス

Kindleさまのおかげさまで本当に本を読んでしまう。というか暇なんだろうなぁぁとも思いマス。

今だけだよね。8時間も寝たいだけ寝られる、本を読みたいだけ読める。外遊びをそんなにしていないような気もしますが、それもいずれ欲しくてたまらない日が来るのでしょう。

子供が生まれたほうが、外へ否応なしに出るのかもしれない。

そんな中で1冊、読了。

HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか

概要

シリコンバレーで一番注目されるベンチャーキャピタル(VC)、アンドリーセン・ホロウィッツ。
ブラウザを発明した天才、マーク・アンドリーセンとともに、このVCを共同創業したのが著者のベン・ホロウィッツだ。
ベン・ホロウィッツはネットスケープなどを経て、クラウド企業のラウドクラウド社やオプスウェアのCEOを務めた。

起業家時代のホロウィッツには、これでもかというほどの困難(ハード・シングス)が次々と襲った。
ドットコム不況が襲い、顧客が次々に倒産し、資金がショート。打開策を見つけてIPO(新規上場)を目指すも、
投資家へのロードショウ中には妻の呼吸が止まる。
上場してもパーティさえ開けないような状況でITバブルが弾け、株価は35セントまで急落。
最大顧客の倒産、売上9割を占める顧客が解約を言い出す、3度にわたって社員レイオフに踏み切らざるを得ない状況に――。
しかし最終的には、困難を切り抜け続けて、1700億円超で会社を売却するという大成功を収めた。

壮絶すぎる実体験を通して、ベン・ホロウィッツが得た教訓とは何なのか?

リーダーへ、そしてゼロから何かを生み出そうともがき苦しむ人へ、著者がシンプルで説得力のあるアドバイスを贈る。

これは、たまたま図書館で借りて読んでいたクーリエ3月号の「スタンフォードの自分の会社を作る教室」の特集とよく相関しており、この2つをたまたま同時期に読めてよかった~と思います。

(ちなみに、クーリエには著者が現在経営しているベンチャーキャピタルであるアンドリーセン・ホロヴィッツの共同創業者、アンドリーセンの話も出てきますよ)

スタートアップはスピード命

まず感じるのはスタートアップのスピード感、カオス感です。

特にITはいろいろなベンチャーがタケノコのようににょきにょき出てくるし、進化のスピード感も早い。その中でビジネスをやって、大手企業に売却まで至れるような成功プロセスを描けるのはほんと一握りなんだなぁということがよく分かりました。

特にドットコム・バブルという時期なのでしょうが、OSのシェアで世界を支配するマイクロソフトの脅威とか。門外漢な自分はなるほどな~と思いました。IEをOSに組み込んで、囲い込みで世界を支配する戦略。うむむむ、おそろしい。でも確かに、ITに疎い我が家にも最初にウィンドウズ98があったなぁ。

そんな生き馬の目を抜くような世界の中で次々に襲い掛かるHard Things.

3か月後には資金がショートしてしまうと判明するわ、妻は意識不明になるわ、9割方依存している顧客に契約切られるわ、という絶望で足を止めそうになる中で次々と手を打ち、決断していく。というかせざるを得ない、それがCEO。

こんなデスクワークでまったりやっている人間の甘っちょろさたるやないなぁ、と自身を反省しました。

合議で決めるとコンサバな意見にしかなりえない

いくつか、そうだよなぁと思ったのが、意思決定の話。

人事採用のところで出てきたけれど、合議で決めるとコンサバな意見にしか落ち着かない。結局は反対されようとCEOが決めたリスキーな判断が重要になる場合がある。平時のCEOではなく戦時のCEOには求められることが違うのです。

自分の人生という意味でも、結局は他者の意見に耳を貸すのはほどほどにして、自ら意思決定していかないといけないんだろうなぁ。と思うワタシ。

なぜなら、自分は自分の人生に「All-in」しているから。たとえ家族であり心配の度合いを高めてくれる人でも自分ではない。決断するのは自分であり、他者を拠り所にしてはいけない。もちろん、その過程で発生しうる責任や困難は受け入れないといけないけれど。

あと、私はこの本を読んで、南場陽子さんの「不格好経営」というのを思い出しました。

南場さんは日経ウーマンの「妹たちへ」という短期連載を読んだときからのファンで、きっと頭がものすごくいいのに気取らない、でも意思を持って前に進める存在であって、でも家族が病に倒れた際は優先順位をきちんと考えて行動に移せる、個人的に尊敬している存在です。

この本は途中CEOでないとあんまり意味ないかもね?というレベルでのアドバイス(親友の解雇の仕方とかね)が載っていますが、CEOのための本と一瞥しないでもらえるといいなと思います。ビジネスの荒波を生き抜いて成功を手に入れる、という冒険の書としても読めるし、進化の激しいビジネスの空気感を知ることができるという意味でも面白かったです。

更にすごいのが、この人会社を売却したあとはベンチャーキャピタルとしても成功してるんだもんなぁ。今何かと話題のAir BnBに投資しているし。私も福岡でビジネスやってみようかしら。