アキュセラ・インクの2b/3相失敗とバイオベンチャーについて思うこと。

エミクススタト塩酸塩の2b/3相試験が大失敗しましたね。

株価も大変なナイアガラのようで。

自分は医薬品業界の端の端で生きている人間なので一応基礎知識は一般の方よりはあるつもりです。たぶん。

まあ端の端とはいえ足は突っ込んでいるので念のため医薬品やバイオ株を買うことは一切ないんですけどね。でもまあそういう縛りがなかったにしろ、バイオベンチャー株を買うことはまずないだろうなと思うわけです。バイオベンチャーへの投資なんて本当に本当にハイリスクだと思います。

今回のドライ型加齢黄斑変性治療薬、しかも経口でなんて本当に夢の薬だったんですけどね。

だいたい局所投与、確か眼に注射するタイプの薬が主流ですから、患者さんの侵襲性が高くてつらいです。しかも視覚ということで患者さんのQOLに如実に影響する。

ちょっとIR資料を見てみましたが、2a試験で妙にNの脱落が多い気がする。90日間の服薬ってそんな大変じゃないだろうし安全性プロファイルは問題なさそうな記述が多いし、なんでここでそんなに解析対象が少ないんだろう。だからこそ統計学的な数値が出せないみたいですね。よくこれで500例集める3相もっていこうと思ったな。開発資金がひっ迫しているから無駄打ちできなかったのかな。

最近は開発のしやすい生活習慣病治療薬はだいたい治療の満足度が高水準になりつつあって、より難しいアンメットニーズ領域に踏み込まないとやっていけません。

いわゆる未開の地の開拓なんだけど、じゃあなんで未開かってやっぱり難しいから。

まずなぜその病気になるのか、病態の解明が不十分。アルツハイマー病もアミロイド仮説が有力ですがことごとく臨床試験が失敗してアミロイド仮説が疑問視されていたり。

また非臨床でのモデル動物が作りづらい。生活習慣病だと簡単です、生活習慣を悪くすればモデル動物になる。もちろんいろいろと遺伝子を過剰発現したりノックアウトしたりその他行動を制限したりいろいろやってモデルを作ってはいますがそこからの臨床への反映になっていなかったりする。

今回のアキュセラ、大手の大塚がタッグを組んでいるし大規模臨床試験をしている、しかもFDAのブレイクスルーセラピー指定を受けている(どういう基準でつけているんだろ。どの精度のデータなんあだろ!気になる~)、そりゃみんな気になって飛びつくよね。

残念ながら砂上の楼閣だったということで。こういう失敗した臨床試験データをレポジトリみたくして公開することで試験立案の参考にできそうなもんだけど。

実はEMAが臨床試験データの公開をやろうとしていたけどこれは頓挫しそう。

大手企業ですら3相失敗してたりするし長期収載品への風当たりは強いしバイオベンチャーは生きる芽があるのかしらん。

面白そうなリサーチペーパー読んでみましょう。

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